トルコ、エーゲ海沿岸を巡る食の旅
約400年続く伝統的な祭り「メシルペースト フェスティバル」も開催
トルコのエーゲ海地方では、何世紀にもわたる伝統的な食文化を取り入れた、独自の美食体験を提供しています。この地方は持続可能な食の点で、国内で最も重要な場所の一つに挙げられており、美味しいオリーブオイル、様々な地元産のハーブや野菜、新鮮な魚介類、古くからのワイン造りの伝統、ファーム・トゥ・テーブル(農家から食卓へ)の哲学などの食の伝統を受け継いでいます。
例えば、エーゲ海地方のマニサで約400年もの間行われている祭りで、2012年にはユネスコの無形文化遺産にも登録された「メシルペースト フェスティバル」が4月23日(火)から4月28日(日)に開催されます。祭りの名称にもなっているメシルペーストは、41種類のスパイスからなるペーストで、オスマン帝国の皇帝スレイマン1世の母親の病を治すために作られたと伝えられています。開催期間中は、メシルペーストの無料配布や民族舞踊のパフォーマンス、コンサートなどが行われる予定です。
オリーブオイルが主役
恵まれた気候と地理的条件から、エーゲ海沿岸はアナトリアでも有数のオリーブ生産地としてよく知られています。エーゲ海料理がオリーブとオリーブオイルを中心に形作られている理由も、この深く根付いた文化と栽培の歴史によるものです。この地域の美味しいオリーブとオリーブオイルは、昔からエーゲ海料理の中心的存在で、朝食にタイム、ローズマリー 、ミントなどのハーブで香りづけされたオリーブオイルを焼きたてのパンにつけて食べたり、ランチやディナー時にサラダ、前菜、メインディッシュにオリーブオイルを使って、料理に風味とヘルシーさ、軽やかさを加えています。また、インゲン豆、ナス、アーティチョークなど春の訪れを告げる野菜が 、長生きの秘訣であるオリーブオイルによって、素晴らしい一品に変身します。
この地方に自生するハーブ類もエーゲ海料理に欠かせないもので、シェブケット・イ・ボスタン(アザミ)、アスパラガス、タンポポなど、美味しくて薬効のあるハーブを祝う祭りが催され、良質なオリーブオイルと和えてメインディッシュや前菜として供されます。
魚づくしの食卓
エーゲ海料理は豊かなエーゲ海の恵みを享受しており、海沿いのアイヴァルックからアラチャトゥ、ボドルムからダッチャまで、町のレストランでは、タイ、スズキ、ハタハタ、カキ、タコ、イカ、エビなど、新鮮な魚介類が味わえます。タコやイカ料理、エビ鍋、季節の魚のグリルなどがおすすめです。
数世紀にわたるブドウ栽培の歴史
エーゲ海地方産のブドウから造られる美味しいワインは、シーフードとの相性が抜群です。その素晴らしい土壌と気候から、エーゲ海地方は世界で最もワイン作りに適した地域の一つとされています。この地域のどこを旅しても何世紀もの歴史を持つブドウ畑で、その甘美なブドウやワインをお楽しみいただけます。例えばイズミルのブドウ畑ルートやミシュランの星付きレストランがあるウルラ、昨年、国連世界観光機関から「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」に選ばれたシリンジェ、そしてトルコの高級リゾート地ボドルムなどで、国際的に有名なトルコワインの数々を味わう
ことができます。ボズジャーダでは、さまざまなワインが栽培されており、固有品種クントラとカララフナの赤ワイン、チャヴシュとヴァシラキの白ワインなどが楽しめます。ブドウ畑で知られるウルラでは、ボルノヴァ・ミスケティのような地元のブドウ品種や、繁殖によって絶滅の危機から救われたフォチャ・カラスやゲイデュラのブドウから造られる美味しいワインを提供しています。
高級レストラン
近年、革新的なシェフが高級レストランをオープンし、この肥沃な地方の特産物や伝統を通じて、エーゲ海料理のエコロジカルで文化的な持続可能性を発信しています。特にイズミルのウルラ地区は、この地域で最も人気のある観光地のひとつで、ファーム・トゥ・テーブル(農場から食卓へ)のコンセプトと廃棄物ゼロのアプローチを採り入れたレストランで郷土料理を味わうことができます。ミシュランガイドには、イズミルのウルラと、同じく観光地として知られるムーラのボドルムが掲載されています。これらのレストランの多くは、才能ある若いシェフが率い、古典的な料理を新しくアレンジした料理を提供しています。