世界最古の遺跡の一つギョベクリテペとカラハンテペで 顔料が施された等身大の猪像と先史時代最大の人間の彫像を発見

トルコ共和国文化観光省の2023年9月30日(土)の発表によると南東アナトリア地方にある世界最古の新石器時代の遺跡のひとつであるギョベクリテペとカラハンテペで、人間と動物の彫刻が新たに発見されました。これは先史時代の謎に光を当てる世界的に重要な発見で、タシュ・テペレルプロジェクトの一環として9つの遺跡で実施された最新の発掘調査によるものです。


ギョベクリテペ 歴史を変えた遺跡
シャンルウルファ市の中心部から北東へ約18km、オレンジク村の近くに位置するギョベクリテペは、人類の歴史における最も重要な遺産のひとつです。ユネスコ世界遺産に登録されたトルコの18番目の遺跡であり、新石器時代などの狩猟採集社会に対する我々の理解を大きく変えました。ギョベクリテペでの最初の発掘作業は1995年に開始され、動物のモチーフや幾何学的な形が施されたT字型の柱、様々な人間や動物の彫刻、石器や骨角器、当時の食生活を反映する植物や動物の骨などの遺物など、短期間に数多くの発見がなされました。ここでの調査によって、人類史上最も大きな変革のひとつである定住と生産的な生活様式がどのようにして生まれたかについて、重要な洞察が得られた他、この時代の社会生活、建築、芸術に関する豊富な新情報を明らかにし、新石器時代の初期に高度に発達した社会が存在したことを浮き彫りにしました。


今回、ギョベクリテペのD区画からは、石灰岩で出来た等身大のイノシシ像がH字型のシンボル、三日月、2匹のヘビ、3人の人間の顔(または仮面)で飾られたベンチの上で発見されました。彫刻の表面には赤、白、黒の顔料が残されており、この時代から現代までに発見された実物大の彫刻としては初めてのものです。

人間の彫像: 先史芸術の印象的な例
ギョベクリテペから南東へ約30km離れたカラハンテペでの最近の発掘では、この時代最大の人間の彫像が発掘されました。高さ2.45mのこの彫像は、ベンチの上で地面にしっかりと固定されており、リアルな表情を持つ先史時代の芸術の最も印象的な例のひとつと言われています。座っている男性像は、肋骨、背骨、肩の骨が強調され、死者を連想させます。同じ場所には、ベンチの前に置かれたハゲタカの彫刻があり、その上に残された石板も発見されました。これまでの発掘調査では、ギョベクリテペの遺跡と類似した記念碑的建造物も発見されています。


昔から古代文明の国であったトルコでは、文化遺産の持続可能性を確保するため、歴史的地域で数多くの考古学的発掘や修復プロジェクトが行われています。考古学プロジェクトの多さでトルコは世界をリードしており、国内における考古学的発掘調査件数は、2023年末までに750件に達する見込みです。

最近のプロジェクトのひとつが、今回のタシュ・テペレルプロジェクトです。イスタンブル大学先史考古学学部のネジュミ・カルル教授(学部長)の指導の下、人類が最初に定住した社会の技術的、生態学的、社会的側面を理解するために実施されました。シャンルウルファ高原で行われた地表調査の結果、ギョベクリテペの近くに同時代の集落が発見され、タシュ・テペレルと総称されました。これらの集落には、ギョベクリテペのほか、カラハンテペ、セイブルチュ、セフェルテペ、ハルベツヴァン・テペスィ、ギュルジュテペ、チャクマクテペ、メディク、クルトテペスィ、タシュルテペ、アヤンラル、ヨウンブルチュ、イェニ・マハレが含まれます。これらの考古学的発掘調査は、過去の物語を明らかにし、人類の遺産と私たちを結びつけ、歴史に光を当てる考古学的研究に貢献し続けています。